寒いこの季節、暖かいお風呂は一日の疲れを癒してくれます。しかし、冬のお風呂には危険も潜んでいるのです。私たち救急隊が冬に数多く遭遇するのが、入浴中の事故です。特に高齢者の事故が多く、浴室内での転倒といったものもありますが、多いのが浴槽内でお湯に浸かっていて意識を失ってしまうものです。中には、お湯の中に沈んだ状態で発見され、既に心肺停止(心臓や呼吸が止まっている状態)になっているということも少なくありません。
冬にお風呂での事故が多いのは、体が温度の急激な変化にさらされることと、熱いお湯に浸かることによって脱水が起こりやすいことが原因と言われています。暖かい部屋などから寒い脱衣所・浴室に入ると、血圧が一気に上昇し、熱いお湯に浸かることで血圧はさらに上昇します。そのまま浸かり続けると、今度は血圧が一気に下降していき、この血圧の急激な変動が意識消失を引き起こし、溺れてしまうのです。また、熱いお湯に浸かり続けると、発汗により血液中の水分が奪われ、血栓ができやすくなるため、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなります。
お風呂での事故を防ぐために、以下のことを心がけてください。
(1) 入浴前に脱衣所・浴室を暖めておく。(脱衣所に暖房をおく、シャワーを先に
出しておく。)
(2) お湯の温度は40度程度にとどめ(42度以上は危険)、長湯は避ける。
(3) 入浴前後には水分補給をする。(飲酒は逆に危険)
(4) 深夜・早朝の入浴は避ける。(気温がより下がるので危険)
もし、お風呂でご家族など誰かが倒れているのを見つけたら、以下の対応をして
ください。
(1) お湯に沈んでいるときは栓を抜く。
(2) 119通報をする。
(3) 浴槽内で倒れているなら引き上げる。(人手を集めてから)
(4) 呼吸をしていないなら心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)を行う。
※119通報時に受信者が処置等について指導します。
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